保険会社の治療費打ち切りに対してとるべき対応と弁護士ができる3つのサポート
保険会社が交通事故による怪我の治療費の支払を止める、打ち切り。保険会社の払い渋りによる打ち切りのように喧伝されていますが、実際には保険会社にも理がある場合が多く、その筋を理解することにより、打ち切りに対して有効な手を打つことができます。
この記事では、打ち切りを伝えられた時にとるべき3つのステップと、打ち切りに対して弁護士が行える3つのサポートについて具体的に説明していきます。
治療費の打ち切りを伝えられた時に、とるべき3ステップ
治療費の打ち切りとは、保険会社が交通事故による怪我の治療費を病院に支払うのを止めることをいいます。保険会社は治療の状況をみながら医師と相談し、怪我が治ったりそれ以上回復したりしないと判断したポイントで打ち切ります。ただし、怪我の状態に対して通院の頻度があまりにも多すぎると判断された場合には、より早い段階での打ち切りとされることもあるようです。
治療費の打ち切りを伝えられた時点でまだ症状が残っており、継続して通院したいのであれば、つぎの3ステップを試してみましょう。
①打ち切りの通知か、予告かを確認する
伝えられた内容が、すでに「打ち切りました」という通知なのか、「〇月いっぱいで(あと〇回で)打ち切ります」という予告なのかを確認しましょう。
打ち切りの予告の段階であれば、続く②・③のステップを試してみる価値があります。
すでに打ち切られている場合には、撤回させるのは困難なため、後述の「治療費の打ち切りに対して、弁護士ができる3つのサポート」をご参照ください。
②主治医の意見を聞く
治療費が打ち切られる一般的な理由は、次のどちらかです。
- 治癒:怪我が治り、治療が必要ない
- 症状固定:それ以上治療しても回復の見込みがない
まずは診察を受けて治癒と症状固定のどちらに当たるのかを確認し、今後の方針について相談しましょう。
症状固定と判断され、通院期間が6ヶ月近くとなっている場合には、後述の「後遺障害の等級申請を検討する」をご参照ください。治癒の場合や、症状固定と言われてもまだ回復の余地があると感じている場合には、具体的に症状を伝え、治療の継続を相談します。
③保険会社と交渉する
前述の②で、医師から治療の継続について同意を得られた場合には、その旨を保険会社に伝えて治療費支払の継続を申し入れます。あらかじめ治療期間や通院頻度の目安を確認して伝えることにより、成功する確率が高まるでしょう。
治療費の打ち切りに対して、弁護士ができる3つのサポート
「治療費を打ち切られた時に、とるべき3ステップ」でお伝えした、ご自身での対応が難しい、もしくはやってみてもうまくいかなかったという時に弁護士ができるのは、次の3つのサポートです。
①治療期間を延ばすための交渉を行う
正式な打ち切りとなっていなければ、治療期間を延ばす交渉を行います。ただし、引き延ばせる期間は通常1~2か月が限度ですので、必要な治療や検査を行いながら②・③のような対策を考えます。
②あえて早めに治療を打ち切る
積極的な治療が必要ないのであれば早めに治療を打ち切り、代わりに慰謝料をアップするように交渉します。ご通院に係る治療費は結局病院に支払われてしまうわけですが、慰謝料をアップできれば、その分は確実にご本人の手元に残るというメリットがあるからです。
既に打ち切りになっていたり、医師が治癒と判断し、それ以上延ばすのが難しかったりする場合には、この方法で解決を図ります。
③後遺障害の等級申請を検討する
治療費を打ち切られた時点ですでに事故から6ヶ月近く経過している場合には、そのまま後遺障害等級の申請を検討する方が得策です。逆にまだ通院期間は短いが、後遺障害が残る見込みがあるという場合には、ご自身の健康保険を使ってでも通院を続けた方が良い可能性もあります。
この判断はケースバイケースのため、当事務所ではおひとりおひとりの状況を見ながら、それぞれに適したアドバイスを行っています。
打ち切り後の治療費は、損害賠償金として認められない可能性がある
打ち切りとは、保険会社としてはこれ以上治療費を払わないという意思表示です。打ち切られたから治療を中止しなければならないわけではありませんし、かかっている治療費の損害賠償請求ができないというわけでもありません。
しかし打ち切り後は、受診のたびに自分で治療費を支払わなくてはなりません。【交通事故では健康保険を使って通院したほうがいいのか?】で説明したように、自由診療であれば高い治療費単価で全額負担となるため、予想外に高額となる可能性があります。しかも裁判などで争ったとしても、打ち切った理由が合理的なものであれば打ち切り後の通院費は損害賠償金として認められない可能性もあるのです。
このため打ち切り後の治療継続については、弁護士や医師に相談し、慎重に判断する方がよいでしょう。
治療を打ち切られないようにするためには、どうすればよいか?
交通事故に遭った直後の段階で連日のように通院するなど、通院頻度が過剰とみなされた場合には早期に打ち切りの打診があることが多いようです。
また当事務所では、あえて事故直後には受任をせず、しかしご依頼をお受けした際と同等のフォローやバックアップを継続することにより、示談や後遺障害の話が出る段階に至るまで、ご本人に窓口対応をしていただく手法を採用することもあります。これは、相手保険会社からの不要な警戒を招かず、いたずらに早期打ち切りをされるような事態を避けるための一つの方策です。
治療費の打ち切りを伝えられたら、当事務所にご相談ください
打ち切りと言われてからでも、リカバリーできる可能性はあります。
通院の仕方や今後の方針について困られることがあれば、いつでもご遠慮なくご相談ください。どのようなタイミングでご相談をいただいても最善の結果となるように、わたしたちが全力でバックアップします。