過失割合の影響がなく特別支給金も受け取れる?労災保険を使うメリットと注意点

業務・通勤中の事故による怪我や死亡などについて、治療費や休業補償を受け取れるのが労災保険です。
この記事では、労災の申請で保険料が上がるという誤解や、労災保険・特別給付金で受け取れる項目、請求したほうが有利な5つの例と注意点についてお伝えします。

労災保険とは

労災保険とは雇用保険などと同じ労働保険の一種です。業務中や通勤途中の事故による怪我が対象で、次のような項目の保険金が受け取れます。

  1. 療養補償給付
  2. 休業補償給付
  3. 遺族補償給付
  4. 葬祭費
  5. 傷病補償年金
  6. 特別支給金

ここでいう業務には、会社が主催する社員旅行なども含まれますが、通勤には、住所と就業場所とを往復するための合理的な経路を外れている間は対象外となります。

労災の申請をすると、保険料が上がる?

一般的によく言われるのが「労災を使うと保険料の掛金が上がるなどのデメリットがあるから、使いたくない」「会社が使わせてくれない」ということです。

しかし、業務の遂行を原因とする災害と異なり、通勤災害は保険料には影響しないため、必要な場合にはしっかりと会社に説明をし、労災を使うことが必要です。

労災保険を請求したほうが良い5つの例

労災保険と自賠責保険はともに国の制度であり、通勤災害や業務災害の場合には、双方に請求することができます。

ふたつの保険の補償内容は、ほとんどが重複しているのですが、つぎの3点に示した通り、より補償が充実している自賠責保険を優先し、差額が受け取れる場合に労災保険に請求するのが一般的な流れと言えます。(任意保険会社の方針によっては、労災保険を先行させることもあります)

  1. 慰謝料・入院雑費が受け取れる
  2. 休業損害の全額が受け取れる
  3. 仮渡金(損害を受けた額が確定する前に保険金の一部を受け取れる仕組み)制度がある

労災保険の請求それ自体や、自賠責保険より優先することを検討したほうがよいのは、主に次のようなケースです。

①責任割合にかかわらず、損害額の全額が受け取れる

自賠責保険では、事故の責任割合が70%以上ある場合には、受け取れる保険金が削減されますが、労災保険では責任割合による減額の仕組みがありません。

このため、本人の責任割合が大きい場合には、労災保険から請求したほうが有利と言えます。

②自賠責保険の上限による休業補償や慰謝料の削減が避けられる

相手が自賠責保険にしか加入していなかった場合で、入院が長引く場合など、治療費がかさむ場合には、治療費の支払だけで、受け取れる金額の上限に達し、本来受け取れるはずの休業補償や慰謝料が満額受け取れなくなる可能性があります。保険金額の上限が比較的低いうえ、業務中の怪我については健康保険が使えないため、自由診療となり、治療費が高額になるからです。(保険診療・自由診療の違いについては、【27】をご覧ください)

労災保険から治療費や休業補償などを受け取り、自賠責保険で労災保険にはない項目である慰謝料を受け取るほうが、満額の損害賠償金を受け取れる可能性が高まる場合もあります。

③病院窓口での自己負担が避けられる

相手の対人保険や自分の人身傷害補償保険(特約)などの任意保険が、優先して使えない場合には、病院の窓口での支払いが自己負担となります。自賠責保険などに請求できる場合には、後日、認定された治療費等を受け取ることができますが、最低でも1か月分は立替をする必要があります。
労災保険が使えれば、任意保険が使える場合と同様に、原則的に窓口での立替が不要となります。

④特別支給金が受け取れる

療養のために賃金を受け取れない場合や、重い怪我や後遺障害を負ったり、死亡したりした場合に、特別支給金を受け取ることができる可能性があります。

これは、社会復帰の促進のための社会復帰促進等事業として支給されるもので、つぎのような4種類・9つの給付項目が設けられています。

  1. 休業特別支給金
  2. 傷病特別支給金・傷病特別年金
  3. 障害特別支給金・障害特別年金・障害特別一時金
  4. 遺族特別支給金・遺族特別年金・遺族特別一時金

⑤重い後遺障害や死亡事故に対しての年金が受け取れる

障害等級1級~7級の後遺障害が残った場合や死亡事故の場合には、労災保険から傷害補償年金や遺族補償年金、傷病補償年金、休業補償年金などが支給されます。

また、重い後遺障害や死亡事故の場合には、国民年金や厚生年金からも年金や手当金が支給され、受け取れる年金額が1.5倍以上になる可能性があります。(それぞれの等級の判定には、独自の基準があります)

ただし、これらの年金が同時に受け取れる(併給)の場合には、調整による減額(併給調整)が行われます。

労災保険を請求する時の3つの注意点

以上のように、場合によってはメリットの大きな労災保険への請求ですが、請求に当たっては3つの注意点があります。

①勤務先の同意が無くても労災保険の請求は可能

世間一般では誤解されている方が多いようですが、会社が被災者の労災保険を請求する権利を制限することはできず、使用者が請求を許可するとかしないとかの介入ができるわけではありません。請求の際に「事業主証明」という手続があることから生じた誤解と思われますが、仮に会社が「事業主証明」を拒否した場合であっても、労働基準監督署への相談や所定の手続を経ることで、労災認定調査を受けることができます。

②相手との示談前に相談をする

自賠責保険への請求や、損害賠償金の受け取り(病院への治療費を先に払ってもらうなど)などを先に進めていた場合でも、相手との示談が成立する前に勤務先や労働基準監督署の担当者、また任意保険会社を窓口としている場合には、保険会社の担当者に相談をしましょう。

示談方法によっては、特別支給金や障害給付、遺族給付などが受けられなくなる可能性があるためです。

③国が事故の相手方へ、損害賠償請求を行う可能性がある

労災保険からの保険金を受け取った場合には、その金額の範囲内の損害賠償請求権を国が取得します。このことにより、自賠責保険や事故の相手方などに対して、国から損害賠償を求める(求償)ことがあります。

ただし、同じ雇用主のもとで働く同僚との事故の場合には、原則として損害賠償請求は行われないこととされています。

労災保険を事故の対応を進めているが、請求しなければならないのか?

労働安全衛生規則第97条では、労働者が労働災害で負傷や死亡をした場合には、労働基準監督署長に届け出をすることが事業者の義務されており、怠った場合には罰金刑となっています。このため、請求をするかどうかを問わず、届け出を行うことは必要だと言えるでしょう。

しかし請求をするかどうか、どのようなタイミングでどの項目について請求をするかは、ご本人の判断に任されています。もし、判断に迷われるようでしたら、弁護士などの専門家に、ぜひご相談ください。

通勤中・業務中の事故については当事務所にお任せください

このように労災保険では、自賠責保険とのどちらを優先するかなど、早めにご検討をいただく方が有利な選択をできる可能性が高まります。

示談書の提示を待たず、ぜひお早めに当事務所へご相談ください。

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