交通事故では健康保険を使って通院したほうがいいのか?

交通事故では、健康保険を使った方が有利になることがあるのをご存知ですか?
この記事では、健康保険を使った場合と使わなかった場合の治療費の3つの違いと、健康保険を使うと有利になる可能性がある5つのケース、そしてなぜ、交通事故では健康保険は「使えない」と考えられているかについて解説します。

保険診療と自由診療の3つの違い

病院の診療には、自由診療と保険診療の2種類があります。例えば、通勤・業務災害などの労災は健康保険の対象とならないなど、対象となる診療の一部や、治療費の支払い方が異なりますが、保険診療と自由診療のどちらも適用できる診療では、本人がいずれかを選ぶことができます。(労災についての詳しい説明は【過失割合の影響がなく特別支給金も受け取れる?労災保険を使うメリットと注意点】をご覧ください)

①3割負担の保険診療と全額負担の自由診療

本人負担が3割なのが、保険診療です。ほとんどの治療は健康保険の対象となります。

しかし、海外で開発された最新の抗がん治療のように、厚生労働省が承認していない治療や薬は対象となりません。このため、そのような治療は健康保険の適用とならず、治療費の全額が自己者負担となります。これが自由診療です。

②保険診療と比べ、治療費の単価が高い自由診療

保険診療と自由診療の違いは、治療費を計算する時の単価にもあります。

病院にかかったときにもらう明細には、必ず点数が記載されていることに気づかれた方もいるかもしれません。すべての医療行為には、点数が定められており、その点数に単価をかけたものが、医療機関が受け取れる報酬額となっています。

健康保険では、診療の単価は一律10円と決まっていますが、自由診療では、病院が自由に決めてよいことになっており、20円以上の単価を採用する病院が多く見られます。
つまり、同じ治療をしたとしても、健康保険を使用した場合の治療費は10万円の請求となるところ、自由診療の場合には、単価が20円であれば、保険診療の倍の金額である20万円の治療費が請求されるということです。

③高額療養費制度で、負担額に上限が設けられている保険診療

健康保険には、病院に支払った治療費が一定の額を超えた場合には、超えた分を返金してくれる高額療養費という制度があります。このため治療費が高額となる場合には、健康保険を使うと治療費がより低く抑えられることになります。

健康保険を使うと有利となる可能性がある5つのケース

交通事故の治療費などの損害賠償を満額でもらえる場合には、自由診療によって治療費が高くなっても差し支えはありません。

しかし、受けた損害に対して、全額の賠償が受けられない場合が問題です。そのような場合には、健康保険を使った方が、ご本人にとっては断然有利となります。

健康保険を使った方が有利になるのは、どのような場合でしょうか。
考えられる5つのケースを見てみましょう。

①人身傷害補償保険(特約)の契約がない

自分の怪我の治療費などの実費を受け取れるのが、ご自身の自動車保険の人身傷害補償保険(特約)です。これが使えないケースで、③~④に当てはまる場合には、治療費の自己負担が発生する可能性があります。
(なお、人身傷害補償保険(特約)を使用できる場合には、保険約款の規定により、健康保険を使う必要があります)

人身傷害補償保険(特約)については、【請求もれがないように確認を!交通事故の怪我で請求できる10の保険と保障とは】をご覧ください。

②入院している

入院は、治療費の上限がない自由診療の場合には、高額になります。
人身傷害補償保険(特約)が使えないケースで、③~④に当てはまる場合には、治療費の自己負担が発生する可能性があります。

③相手が自賠責保険・任意保険に入っていない、任意保険の保険金額が低い

相手が自賠責保険・任意保険のどちらか、もしくは両方に入っておらず、①の人身傷害補償保険(特約)が使えないケースでは、治療費は自己負担となる可能性が高くなります。
また、任意保険に加入していても、十分な保険金額の付保がないというケースも見受けられます。保険契約のある自動車のうち、5%にあたる約300,000台は、2千万円~1億程度の保険金額で契約しているという統計もあります。
(損害保険料率算出機構作成の「2017年度 自動車保険の概況」より
https://www.giroj.or.jp/publication/outline_j/j_2017.pdf#view=fitV

相手が無保険の場合については、【任意保険の契約がない相手との事故で、損害賠償を受けるための5つの方法】をご覧ください。

④事故の責任割合(過失割合)がある

事故におけるご自身の責任の割合が70%を超える場合には、自賠責保険から受け取れる保険金が一部カットされてしまいます。また、たとえ責任割合(過失割合)が低くても、ご自身の責任割合(過失割合)に相当する部分の治療費は、結局自己負担となっていることに注意が必要です(相手保険会社が治療費を支払ってくれている時点では、この構造に気が付きにくいため、多くの方が誤解をしている部分です)。

このため、責任割合(過失割合)も治療費も大きく、①の人身傷害補償保険(特約)も使えないケースでは、結局のところ、後に受け取れたはずの慰謝料などを削って治療費を支払っていたのと同じ状態になってしまう可能性があります。

⑤より適切な後遺障害等級の申請ができる可能性がある

通院期間が短かったり、早めに症状固定とされてしまったりすることにより、本来認定されたはずの後遺障害等級が獲得できないというケースがみられます。それを避けるために、保険会社から通院の打ち切りをされた場合でも、自分の健康保険をつかって負担を低く抑えながら、通院する方が有利な場合もあります。

なお、保険会社からの打ち切りと言われた場合の対処法については、【保険会社の治療費打ち切りに対してとるべき対応と弁護士ができる3つのサポート】をご覧ください。

交通事故では健康保険は「使えない」「使わないほうがよい」という誤解

なぜ交通事故では自由診療になるのでしょうか。これは、病院と本人との双方の事情により、そのような状況となっている可能性があります。

①本人負担がなく、より手軽に高額な治療費が受け取れる病院

健康保険を使った治療では、差額の7割は病院が健康保険組合などに請求する仕組みとなっており、手続きが煩雑です。また、病院が受け取れる報酬の総額も、自由診療と比べて低く抑えられてしまいます。

治療費を負担するのが本人ではなく、国や保険会社であるならば、自由診療を望む病院も多いかもしれません。

②健康保険が使えないという思い込みと、本人の手続きの面倒さ

一方で事故に遭った本人も、交通事故での受診だからと、健康保険証を提示しないことが多いでしょう。健康保険証の提示がなければ、その治療は自動的に、自由診療として扱われます。病院によっては、健康保険は使えないと言って、保険診療を拒否する場合もあるようです。

また、交通事故で健康保険を使用する場合には、健康保険組合などに連絡をし、「第三者行為による傷病届」を提出する必要があります。これは健康保険組合が、病院に支払った7割の治療費を相手方の保険会社などに請求するために必要な手続きですが、事故に遭った方にとっては面倒なことではあります。

これらのことから、交通事故では健康保険は「使えない」という誤解が生まれたのではないかと思われます。

すでに自由診療での治療が進んでいますが、どうしたらよいでしょうか

自由診療で治療をされていても、健康保険証を提示すれば、健康保険を使った治療に切り替えることは可能です。

どのタイミングから切り替えられるかはケースバイケースであり、病院側の応対次第といった部分もあります。ご自身での判断が難しい場合には、弁護士などに相談されることがお勧めです。

病院との付き合い方については、当事務所におまかせください

当事務所では、健康保険を使った方が良いかの判断をはじめとして、交通事故の治療に理解のある病院の紹介や、通院頻度のコントロールなど、事故の初期から必要な対応について親身に対応いたします。
病院との関係で迷われていることがあれば、ご遠慮なく当事務所にご相談ください。

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