弁護士のサポート及び示談交渉により、逸失利益の獲得が難しい後遺症につき、賠償金を約10倍に増額した事案

後遺障害等級
12級相当
傷病名
外傷性の顎関節症、不正咬合
最終獲得額
432万円
保険会社提示額
42万円
被害者 50代 個人事業主 女性
部位
傷病名 外傷性の顎関節症、不正咬合
後遺障害等級 12級相当
最終獲得金額 約430万円
項目 サポート前 サポート後 増額幅
後遺障害等級 非該当 12級相当
入通院慰謝料 42 106 64
後遺障害慰謝料 0 261 261
逸失利益 0 65 65
合計 42 432 390
単位:万円

事故・怪我の状況

ご依頼者様が自転車に乗車中、乗用車に衝突され、外傷性の顎関節症などのお怪我を負われたことにより、不正咬合・開口障害・額関節痛などの症状が残存し、食べ物のそしゃくに相当時間がかかるようになってしまったという事故です。

解決までの流れ

本件のご相談者様からは、長期間にわたった治療が終了し、相手方保険会社から賠償金の提示があった時点からご相談をいただきました。

ご相談の内容は、未だに事故による症状が残存しているにもかかわらず、賠償金の提示が非常に低額であるため、何とかならないか、といったものでした。

そこで、お怪我の内容や現在のご症状をよく伺ってみたところ、骨折こそなさっていないものの、明らかに外傷性と認められている顎関節症が残っており、それにより、不正咬合・開口障害や関節痛といった症状が発生しているため、お食事に大変苦労していらっしゃることが判明しました。

そのため、弁護士が「咀嚼(そしゃく)障害」を認定してもらうための後遺障害診断書案を起案し、それに沿った診断書を主治医の先生に作成してもらいました。

そして、そのような事前準備の甲斐あって、そしゃく障害について12級(相当)の認定を受けることができたのです。

もっとも、そしゃく障害の後遺症は、その認定を受けただけで解決といえるものではなく、その後に「逸失利益の認定」という厄介な争点が待ち構えています。

つまり、「食べ物をうまく噛み砕くことができない」という事情と、労働能力の喪失(=将来の収入減少)という現象の因果関係について、保険会社からは必ず「労働能力は喪失していない=逸失利益はゼロ円である」という抵抗・反論がなされることになるのです。

この反論はすなわち、『固いものが食べづらかったり、食事に時間がかかったりしても、仕事をする能力に影響はないはずだ』というもので、単純に一見すると一理あるようにも思えます。

しかし、食事をして栄養を摂取することは、人間の生活において最も基本となる行動ですから、そこに支障が生じれば、十分に栄養を摂取できず、日常生活や労働に悪影響があることは当然といえます。

また、食事に他人より多くの時間がかかれば、その分労働の時間や能率が阻害されることにもなり、さらに言えば、食事をすることに何らかの支障があれば、打ち合わせ・接待といった業務上必要な飲食の機会にも大きな悪影響が発生することになります。

弁護士としては、上記のような理由付けが散りばめられた裁判例を多数検索・収集し、それらを整理して相手方保険会社に提示することで、そしゃく障害による労働能力の低下を認定させることに成功しました。

本件では、後遺障害が認定され得る残存症状を的確に発見・分析し、適切に後遺障害の認定を受けることができた上、後遺障害の種類からすれば一般的には認定・獲得が難しい費目(逸失利益)についても賠償を受けることができました。

当事務所の専門的な知見や経験がうまくお客様のお役に立った事例かと思います。

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