一般的には認識されづらい咀嚼(そしゃく)の後遺障害を発見・主張し、等級認定によって賠償金を大幅に増額した事案

後遺障害等級
併合10級
傷病名
外傷性頚部症候群、歯の脱臼・破折
最終獲得額
660万円
保険会社提示額
交渉前
被害者 50代 女性
部位 頚部、歯牙損傷
傷病名 外傷性頚部症候群、歯の脱臼・破折
後遺障害等級 併合10級
最終獲得金額 約600万円
項目 サポート前 サポート後 増額幅
後遺障害等級 10級
逸失利益 0 160 160
後遺障害慰謝料 0 500 500
合計 0 660 660
単位:万円

事故・怪我の状況

歩行中の被害者の方が自転車に衝突され、顔面から道路に倒れて、歯の完全脱臼や破折などの重傷を負われたケースです。

解決までの流れ

本件は、歩行をしていたご依頼者様が自転車に衝突され、道路に倒されてお顔や口元に大きな外傷を負われた事故についてご相談をいただいた事案です。交通事故というと自動車やバイクを思い浮かべる方が多いと思いますが、歩行者や自転車が相手の事故でも、相手方に過失が認められる場合には当然に損害賠償を請求することができます。

本件では、幸い加害者の賃貸住宅の火災保険に個人賠償責任保険が付帯していたため、これを利用することで、保険会社から賠償金を回収することができました。

ご依頼者様は、事故の衝撃によって複数の歯を脱臼または破折し、歯科医院で補綴治療を受けることになりました。歯の損傷は、見た目の問題だけでなく、食事や会話にも大きな影響を及ぼします。治療により一定の回復は得られたものの、その後も噛むたびに痛みが生じ、硬いものを避けなければならないなど、日常生活への支障が続いていました。

「歯を失った」「歯科補綴を加えた」という後遺障害は認識しやすく、後遺障害等級表でも把握しやすい項目です。他方で、歯牙損傷を原因とする「咀嚼(そしゃく)」の障害は、後遺障害に該当する可能性があるにもかかわらず、見落とされやすい傾向があります。本件でも、歯科補綴を加えた歯の本数だけを前提にすれば、14級相当の評価にとどまる可能性がありました。

そこで弁護士としては、ご依頼者様の訴える支障や生活状況を丁寧に聴き取るだけでなく、「お食事の際、そしゃくに支障はありませんか?」ということを積極的に伺いました。そして、そしゃくの後遺障害等級を認定してもらうために必要な資料や後遺障害診断書の記載を整え、噛む際の痛みや食事への具体的な影響を詳細に主張しました。その結果、「そしゃく」の障害について、自賠責保険における10級相当の後遺障害(そしゃく機能に障害を残すもの)が認定されました。14級と10級では、後遺障害慰謝料に大きな差が生じるため、この認定は賠償額全体に対して非常に大きな意味を持ちました。

さらに、そしゃく以外の後遺障害(頚部の神経症状など)の内容も踏まえて交渉を重ねた結果、最終的には約600万円での解決に至りました(後遺障害に対する賠償金)。この点、仮に後遺障害等級が14級(3歯以上の歯科補綴)のみであった場合は、弁護士が交渉を行っても、後遺障害に対する賠償金は100万円未満しか獲得できなかったものと思われます。

歩行者・自転車の事故であっても、加害者の個人賠償責任保険が利用できるケースでは、弁護士が保険会社と交渉することで賠償額が大きく変わることがあります。また、「そしゃく」のように気が付きづらい後遺障害については、弁護士へのご相談で初めて発見・認識され、後に賠償金の大きな増額につながる場合があります。相手方が歩行者・自転車の事故であっても、できる限り早めに弁護士へご相談いただくことをお勧めいたします。

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