脊柱変形に対する逸失利益を適正に評価させ、賠償金を約3倍に増額した事例

後遺障害等級
11級
傷病名
胸骨椎体骨折
最終獲得額
1137万円
保険会社提示額
385万円
被害者 40代 男性
部位 胸(胸骨)
傷病名 胸骨椎体骨折
後遺障害等級 11級
最終獲得金額 約1130万円
項目 サポート前 サポート後 増額幅
後遺障害等級 11級 11級 –
入通院慰謝料 54 146 92
逸失利益 0 613 613
後遺障害慰謝料 331 378 47
合計 385 1137 752
単位:万円

事故・怪我の状況

ご依頼者様がバイクに乗車中、自動車に追突され、胸骨椎体骨折などの重傷を負われたケースです。

解決までの流れ

本件のご依頼者様は、40歳代前半の男性でした。バイクで走行中、後方から進行してきた自動車に追突されるという重大な交通事故に遭われました。衝突の衝撃は非常に大きく、ご依頼者様はバイクから投げ出されたうえ、相手車両のボンネット上に乗り上げてしまうほどでした。

その結果、ご依頼者様は胸椎の椎体骨折という重傷を負いました。治療では人工骨を使用し、さらにボルトによる固定術も実施されました。治療経過は長期に及び、症状固定に至るまで約1年もの期間を要しました。

症状固定後、相手方保険会社による事前認定手続が行われ、後遺障害として11級7号(脊柱に変形を残すもの)が認定されました。一見すると高い等級が認定されており、十分な補償が期待できるようにも思われます。しかし、実際にはそう単純ではありませんでした。

脊柱変形に関する後遺障害は、骨の形状変化それ自体が直ちに労働能力へ影響するわけではない、という医学的見解も根強く存在します。そのため、相手方保険会社は、後遺障害等級11級が認定されているにもかかわらず、逸失利益をほとんど計上しない内容の示談案を提示してきました。

ご依頼者様は提示額に疑問を感じながらも、11級の認定を受けている以上、ある程度妥当な金額なのではないかと考えておられました。しかし、弁護士が認定資料一式を精査したところ、重要な見落としがありました。

本件では、胸椎の骨折および変形癒合に伴う疼痛についても派生障害として評価されていたのです。弁護士としては、この疼痛について少なくとも後遺障害12級相当の「頑固な神経症状」として労働能力への影響を認めるべきであると判断しました。そこで、交通事故実務における裁判例や医学的知見を踏まえ、相手方保険会社との交渉を開始しました。

交渉では、単なる脊柱変形ではなく、継続する疼痛によって日常生活や就労に支障が生じている点を具体的に主張・立証しました。その結果、保険会社は当方の主張を受け入れ、67歳まで労働能力喪失率14%として逸失利益を認定しました。さらに、入通院慰謝料および後遺障害慰謝料についても裁判基準を踏まえた適正な増額が実現しました。

最終的に、賠償金総額は弁護士委任前に提示されていた金額と比較して約3倍に増加し、ご依頼者様にも大変ご満足いただくことができました。

本件のように、既に11級という比較的高い後遺障害等級が認定されている事案であっても、その内容を詳細に分析すると、十分に評価されていない損害項目が存在することがあります。この点、保険会社から相応の金額が提示されると、そのまま示談してしまいたくなるお気持ちは非常によく理解できます。しかし、ご自身では十分な金額だと感じられたとしても、示談前に一度弁護士へ相談することで、適正な補償を受けられる可能性があります。弁護士としても、後遺障害案件では、認定等級だけでなく、その実質的な内容まで丁寧に検討することの重要性を改めて実感した事例でした。

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